2020年09月10日 17:49

SHURE AONIC 3、4、5聴き比べ


AONICシリーズが発売されて、数ヶ月前に聴き比べをおこなっていたんですが時間が経ちすぎていました。
※続きはリンクを飛んで確認下さい


という事で、今回改めてAONICシリーズを聴き比べて来たので書いていきたいと思う。


AONIC 3
最廉価グレードとなるAONIC 3であるが、e4cを思わせるデザインとニクイ演出をしつつも、過去に名機と呼ばれたe4cに恥じない音作りがされている。
1BAとあり美音系かと想像していたので少し裏切られた感はありましたが、確かなSHUREサウンドでややフラットよりではあるもののしっかりしたエッジの効いた良い音がする。
1BAとあり多少解像感が犠牲になっているが、音自体はとてもSHUREらしい音になっている。

旧廉価グレードでいえばSE215、SE315、SE425がある。
SE215はDDでありながらBAで作られたSHUREらしいサウンドをしっかりと再現していて驚かされたが、DDなのでエッジ感や音の深さが若干の弱点となる。
SE315は抑揚がなく音の切れ味も弱く、良く言えばフラットだがSHUREらしいサウンドかと言われると少し異なると感じる。
SE425は価格もグッと上がるため音の完成度は格段に高いが、やはりSE535に比べると流石に音のメリハリで劣る。
対してAONICシリーズは3、4、5のどれをとってもしっかりとしたSHUREらしいサウンドを持っていてハズレがない印象を受ける。
AONIC 3ですらSE425からのステップアップでも十分通用するように感じた。

また、今までのSHUREはとても鳴りやすい機器が多かったのだが、今回のAONICシリーズから結構鳴りづらくなっている。
特にAONIC 3が一番鳴りづらいので、少々今までの感覚でボリュームをひねると音量が小さくなるだろう。

最後にこのAONICシリーズに共通して言えることなのだが、ケーブルが非常に扱いづらい。
マイク付きでAONIC 3等は特に価格も抑えたモデルである程度新参向けの商品だろうと想定されるにもかかわらず、AONIC 3の細めの耳の奥に差し込むタイプの装着感をすさまじく劣悪にしているのがこの標準のワイヤードケーブルだ。
相変わらずSHUREはケーブルを作るセンスがないと感じざるを得ない…


AONIC 4
SHURE初のハイブリッド機となる本機。
こちらもとてもSHUREらしいサウンドで良い。
1BAであるAONIC 3と比較するとドライバ構成が豪華な分音の量感や広がりが良く、今までSHUREに馴染みのなかったユーザー層の入り口としても良さそうに感じる。
音は少々下に厚みを感じ、量感がある分BAオンリーの構成のものに比べて芯の深さやキレが鈍い。
ただ全体バランスとしては決して悪く無く、SHUREらしいサウンドでありながらSHUREらしいクセのない聴きやすいサウンドに感じる。
SE535やAONIC 5のバランスノズル辺りと比べてもある程度遜色のない音のレベルがある為、予算的にAONIC 5が厳しい人には良い選択肢となると思える。
ただ他のBAオンリー機と比べてDD機を積んでいるので多少音漏れはしやすいと考えられる。

ケーブルはAONIC 3と同じワイヤードのもの。
AONIC 4からは本体が棒状ではないSE535等と同系統の形状をしている為、まだAONIC 3程は悪くないが決して良くもない。
いずれにせよこの価格帯のイヤホンを使うならマイク付きではなく別途ケーブルを用意したほうが良いだろう…
結構リケで遊べそうな可能性も感じる音でもあった。


AONIC 5
最後はAONIC 5。
こちらはノズルが変えられるのでそれぞれのノズルや、上位機種であり後継機種がまだ出ていないSE846辺りとも比較しながら感想を書いていきたい。

まずAONIC 5は流石にこの価格帯の3BAの血統を継いでいる後継機だけあって3や4に比べても特に優秀さを感じる。
マルチドライバーでありながも音の自然さやキレの良さや音の量感等、あらゆる面で一回り上の音質となる。
これはAONICシリーズに共通することなのだが、今までのSHUREはステージモニターイヤホンである音作りから不自然に前に強調されるボーカルがリスニング向けとしては微妙な側面を持っていた。
このボーカル位置がAONICシリーズから改善されていて、より自然な音作りになっていてリスニングとしても聴きやすくなっている。

それでは、それぞれの比較をしていく。
まずはバランスノズル(標準)のAONIC 5。
こちらは比較対象としてはSE535(ノーマル)の音作りに近い。
個人的にはSE535LTDやSE846のブライトノズルの様なエッジ感と音のキレ味の良い音の方が好みではあるのだが、バランスノズルは過度な高音強調が無いのでこちらの方が聴きやすいという方もいるだろう。
また、比較対象としてSE535に近い音ではあるが確実に音の自然さや解像感等は増しており確実な進化はしていると感じられる。
ただし、あくまでとてもSHUREらしいSHUREサウンドである事とSE535が十二分に完成された音である事を考えると、確かに音は良くなっているがわざわざ同じ値段を出して買い換えるべきかというと少々の疑問が残る。
代わりにノズルを変えることでSE535LTDっぽい音とSE535っぽい音を切り替えれるというメリットはあるので1台で2台分活躍してくれるとも考えらればまだ価値を見い出せるかもしれない。
これから新たに購入する方には悪くないとは思うが、既存のSHUREユーザーはしっかりと音を聴き比べてから買い替えの必要性を検討してもらいたい。

次にブライトノズルのAONIC 5。
こちらの比較対象はSE535LTD。
バランスノズルの時と同じくブライトノズルはSE535より遥かにSE535LTDに近い音色であり、特徴を継いでいる様に感じる。
とは言え、SE535LTDにはなかった音の厚みや深み、より深いキレ味を持つ低音がしっかり出ていてこちらも確実にレベルは上がっている。
この音の煌めきを損なわずに加わっているSE535LTDにはない音の肉厚さはとても心地の良い音になっている。
ただ比較対象があくまで発売から10年経っているSE535と9年経っているSE535LTDの両機である上で、この価格のままどこまで勝負できるのかは少し疑問が残る。
これだけイヤホン業界も成熟している中で、このSHUREのサウンドが当時の価格のままでどこまで対抗できるのだろうか。
私はSHURE信者を自負しているのでこの音はとてもSHUREらしくて好みではあった。
ただ、そうでないユーザーがこの音をどう受け止めるのかは今後も注目していきたい。

最後にSE846との比較。
SE846も発売後既に7年も経っている。
このSE846にどれほど最新機種であるAONICが肉薄しているか、もしかしたらこの7年ぶりの新作がSHUREを代表する名機を超える音の仕上がりになっているかもしれない!
その辺りが気になったので聴き比べてきた。
という事で、結果的に言うとSE846が圧勝でした。
さすがBAのフラッグシップは伊達ではありませんでした。
特に中域において音の厚みや奥行き、表現力の高さはさすがのAONIC 5をも凌ぐ。
唯一AONIC 5がSE846に勝る点で言えばAONICシリーズで改善されたボーカル位置の自然さでしょう。
それ以外は音の深み、キレ、芯の強さ、低音の重さ等はSE846に軍配が上がる。

結論として、SE315やSE425を使っている方がSHUREで買い替えを狙っているならばAONIC 3は十分な検討機材に入る。
新規のSHUREユーザーには良い意味でSHUREらしく、良い意味でSHUREらしくないAONIC 4は良い選択に思える。
SE535やSE535LTDユーザーがAONIC 5に乗り換える価値があるかとすると十分な音質向上は存在するが、そこに5~6万円分の差の価値があるかと言われると少し微妙なくらい旧機器も優秀
SE846ユーザーはいつか出るかもしれないAONIC 8の発売を待ったほうが良いだろう。

といった感じだろうか。
今回のSHUREの7年ぶりの意欲的なBA、DD機の新作、SHUREファンとしてはとても楽しませてもらえた。
今後のSE846の新作バージョンの発売を楽しみに待ちたいと思う。




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